2008/03/27 (Thu) xxxHOLiC(12)−感想

「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」 −『xxxHOLiC』2巻より

XXXHOLiC 12 (12) (KCデラックス)XXXHOLiC 12 (12) (KCデラックス)
(2007/10/17)
CLAMP

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以下、感想です。

※ネタばれ注意報。『xxxHOLiC』既刊と、『ツバサ』23巻まで。



物語がリンクしている『ツバサ』の展開が「激動」中なのに対して、
『xxxHOLiC』の展開は、静かな揺れ、
でも「存在」を足元から揺るがすような危うさを孕んでいますね。

主要人物である四月一日と侑子さんの存在が揺さぶられ、ドキリとしました。
特に侑子さん。

この巻を読み終えた時点で、『xxxHOLiC』の行く末を自分なりに占ってみました。
単行本派なので、予測が発売済の本誌と既にずれているかも知れません。
あくまで自己満足です。


まず、遥さんが述べていた重要な事柄、

「たとえ夢でも
 信じ、望み 愛するものがいれば
 それは現実(まこと)になる

 君も良く知る蝶は
 ずっと、そんな夢を 視ているんだよ」

そして、四月一日の

「蝶は侑子さん、ですか」

これらを考え合わせると、
彼女は、夢に棲んでいるのでしょうか。

『魂』しか行けない夢の中にずっといるのは、
さくらちゃんよりもむしろ、侑子さんの方なのでしょうか。

だとしたら、彼女の躯はどこにあるのでしょうか。


クロウが侑子さんに最後に言った台詞という、

「夢は終わらせなければ」 −『ツバサ』15巻より

これは、『ツバサ』の飛王が願う「不可能」と言われている夢、
すなわち「起きてみる夢」のことかと思っていましたが、
もしかすると、侑子さんの「眠ってみる夢」のことなのかも知れません。

「侑子さんの願いは・・・・
誰か 叶えるのかな・・・・って」

という四月一日の問い掛け。その後に彼女は

「・・・・夢には ふたつあるの
 起きてみる夢と 眠ってみる夢

 そして どちらの夢も
 強く願えば 真実(ほんとう)になる」

こう述べていますね。

「強く願えば」との言葉は、四月一日を励ましているのでしょうが、
彼女の表情から見て、侑子さん自身の願いでもあると考えられます。

私には、「眠っている夢」が真実になるとは信じがたいです。
真実という言葉がどういう意味かにも拠りますが。

冒頭に引いた、占い師宅に在った侑子さん筆による

「うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと」 −『xxxHOLiC』2巻より

という言葉。

その「まこと」が「現実」という意味ならば、
それこそ「不可能」なことではないでしょうか。

今まで、侑子さんによる数々の意味深いお話に肯かされてきたのに、
今回ばかりは疑問だけが残ります。


一方、

「飛王は不可能を 可能にしようとして
 そして 願ってる
 終わってしまった夢を もう一度 と」 −『ツバサ』14巻より

その飛王の願いとは、

「死んだ者を生き返らせる」 −『ツバサ』22巻より

であることが明らかにされました。

その「死んだ者」というのは、どうも侑子さん以外に考えられません。
既に亡き星火、そして「失敗作」である側近の女性たちは、
侑子さんに似せられて創られたことが歴然としていますから。

飛王の「終わってしまった夢を もう一度」 と、
侑子さんの「どちらの夢も 強く願えば 真実(ほんとう)になる」 は、
全く同等のことを願っているとも受け取れます。

万一そうであれば、侑子さんの願いを叶えるのは
敵かと思われた飛王その人であるかも知れないです。

そうすると、別の意味で侑子さんの存在が揺らぎます。
敵か、味方か。
そもそも、善悪の概念なんて主観に拠りけりですけれど。

同等の願いでないなら、あるいは間逆であるとか。
私はそのどちらかではないかと予想しています。


まだ、疑問は残ります。

「次元を超える力 行方を指し示す翼
 我が願いを叶えるもの 今 その力が蘇る」 −『ツバサ』23巻より

と、飛王が述べているとき、
「次元を超える力」のコマには侑子さん、
「行方を指し示す翼」のコマにはさくらちゃんが充てられているのを見ると、
彼女たちの力が利用されることを暗示しているのではと思われます。

もしそうならば、侑子さんを生き返らせるために
当の彼女の力を利用するなんて、可笑しな話ではありませんか。

でも、侑子さんの魂は夢の中に長くあり続けていて
もう躯に戻れない存在になっているとしたら、

魂の力を利用して躯を蘇らせる、という手段を以って
飛王は彼女を生き返らせようとしている、という風に解釈できます。


肝心の、侑子さんの躯の行方。

「あの魔女の許に『小狼』を送ったのは おまえだな 星火
 おまえの素を考えると 仕方ない事かもしれん
 それに 所詮 おまえも失敗作だ」 −『ツバサ』16巻より

飛王が言った「おまえの素」、
それは侑子さんの躯の事を指しているはずです。

星火は「失敗作」にも関わらず、次元移動の魔法を一度使えたのですから
その「素」は相当な力の持ち主でしょうし、
なにより顔立ちが侑子さんに瓜二つです。

ということは、侑子さんの躯は飛王の許にあるのかも知れません。


飛王が侑子さんを蘇らせたいのは、恋情のためか、更なる願いのためか。

もし恋情ならば、それは方恋なのか相愛だったのか。
相愛だったのなら、個人的には侑子さんの感性を疑ってしまいますが、
飛王にそんな一途さがあるなら少し見る目が変わってきます。


*本文内引用、『xxxHOLiC』12巻


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